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2015/09/03

小林賢太郎『ポツネン氏の奇妙で平凡な日々』を観て、『僕がコントや演劇のために考えていること』を読んで考えたこと。

突然ですが、私が尊敬している人のうちの1人に、小林賢太郎という人がいます。(唐突)

私のラーメンズ、小林賢太郎デビューはとても遅いです。大学生になった頃でした。
私のエンターテイメントへの関心は、完全にいとこの影響を真正面から受けていますが、一番生きている中で全身で楽しんでいるのが、ラーメンズの過去のコントや、小林賢太郎さんのパフォーマンスでした。

苦学生だった私が、彼らのコントを楽しむには映像で楽しむ他なかったのですが、大学院を終え、Collableを初めた2013年、棚ぼたかのように、友人がチケットを譲ってくれました。それが、私の初めての生ライヴでした。(声をかけてくれたお友達に感謝!)

2013年のLIVE POTSUNEN 2013 『P+』を観に行った私は、念願のポツネンに実は暗い会場の中で涙したものです。生は全然ちげーな!!!という衝撃を全身で受けました。あれ以来、もう絶対生で楽しもうと心に誓って、2015年。
といってもその後の公演が、今回の『ポツネン氏の奇妙で平凡な日々』だったので、実質生で観るのは2回目でした。

彼のモノクロの舞台に合わせて私も写真をモノクロにしたドヤ顔

上記が証拠写真です。
といっても、彼のファンとして名乗るには、申し訳ないくらい、長いわけではありませんが、彼のシンプルで優しい笑いの場のデザインに、いつも感銘を受けています。

彼の公演のあとのロビーが、私はすごく好きです。充実したカーテンコールの後、お客さんはわりとすぐに客席を離れていきますが、ロビーでみんな真剣にアンケートに答えている様子を見られます。私はあれにまたじんわりした気持ちになります。混雑を避けてアンケートを客席で書いた私は、物販で見かけた彼の書籍である『僕がコントや演劇のために考えていること』を買うかどうかを一瞬迷ったものの、即決購入しました。今日はその書籍のお話です。
(2013年の私は本当にお金に余裕がなかったので、物販はそもそも手を付けられないと思っていましたが、今は2013年より多少豊かになったこともあり、惜しみなく良い物に投資をしようという姿勢になりました。)


『僕がコントや演劇のために考えていること』は、彼の99の思考がただつらつらと書いてあるシンプルな本です。


早速読みのですが、どれもこれも共感する好きなページばかりだったのですが、今日は1ページ選んでご紹介したいと思います。

『エンターテイメントの役割は「手助け」 』というページがあります。

 エンターテイメントの役割は「人を幸せにする」のではなく、「幸せになろうとする人の手助けをする」ということだと僕は考えています。
 僕の作品を観てくれた方から「元気をもらいました」とか「救われました」なんて言ってもらえることもあります。でもそれは、本人に「元気になろう」とか「何とかなろう」という気持ちがあるから成り立つことなんです。

当たり前ですが、幸せにする、幸せであることを、誰かに押し付けると、それはエンターテイメントではないのだろうと思います。
そして、彼の笑いは、元気づけられると思える要素としての優しさがあります。誰かが傷つくような内容になっていない作品のこだわりがそうさせていると思っています。彼の、笑いの起こる場を優しく創る高度な哲学を尊敬しています。

社会的事業を手がけるNPO法人や団体だって、もちろん同じだろうと思うのです。この活動で、その人が幸せであってくれると盲目的に押し付けてしまうと、適切に届かない。選んでもらう必要がある。選んでもらうには、常日頃、これが適切なのか、より適切な手法はあるのか、を考え続ける必要があるでしょう。笑いにおいても、もっとこっちのほうが面白くなるとアップデートしていくのと同じように。

また、Collableに限って言えば、提供する事業や活動は、楽しい時間でありたいと思っています。なぜなら、楽しい時間は、楽しい思い出として強く記憶されうるものだからです。多様な人と関わる経験が「楽しい」と思える人を増やさないと、きっと「多様性を歓迎する社会」なんていうのは、一部の人の妄想で終わってしまうように思うからです。
一部の人の妄想で終わらないように、私も日々活動を振り返り、学び、精進していきたいと思っています。


エンターテイメントと社会的事業を比べて、違うと思えたことももちろんあります。
私たちは、自分の活動を知ってもらうこと、一歩踏み出せない人に知ってもらう努力を、格別する必要があるなと思っています。なぜなら、その情報すらアクセス出来ない、しにくい人へ、価値を届けようとする場合が多いからです。
その努力があってこそ、でも少しでもしあわせになろうとする人に届けようとすることなのかもしれません。

少々乱暴かもしれないお話ですが、要は「小林賢太郎」という人が生み出す思考、作品が好きだということです。はー、ポツネン楽しかったな。

ちなみに、『「自分ひとりだけが知っている特別なもの」と数万人に思わせる』という章があるのですが、おかげさまで、あいも変わらず事務所では、私がポツネンが面白かったという話をし続けています。
(みんなが共感してくれているかは、別だけどね。小林さんのカーテンコールでの話が頭を離れません。) 


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