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2011/11/18

アート活動の可能性:Art×Activity×Workshop



久々にブログを更新したくなったのでします!ご無沙汰しております!笑

先日研究室のブログで自分の研究活動や生活についてちょっと触れました。
山内研究室Blog「一緒に暮らす。」
 http://blog.iii.u-tokyo.ac.jp/ylab/2011/11/post_340.html

せっかくなので、現状の研究にいたるまでのことを、新しい視点で捉えてみようかなと思います。

単刀直入に言って、アートなもの大好きです!という話をします。笑
研究の話じゃない…と思われるかもしれませんが、実は研究とちょっと関連するのでよかったら読んでくださいな。


私は大きな枠組でいうと「Inclusive Education」について研究していて
もっと小さな捉え方をすると「障害のある子どもとない子どもが一緒に学び合うための学習環境デザイン」について研究しています。
そしてこの2年間は空間・活動・共同体の中の「活動」に注目して研究を進める予定です。

誤解を生じる表現になってしまうかもしれませんが、日本ではInclusive Educationに近い実践を「交流及び共同学習」と捉えられることが多いです。

私は学校内で行われている従来の「交流及び共同学習」は正直つまらないものが多いと思っています。

学校内で準備された中で、他校(いわゆる特別支援学校)の子や、特別学級に所属する子がときどきクラスにやってきて、うわっつらに関わりあうという場面を何度も見てきた。
でも、それはある場所で行われると、驚くほどにその風景はとても魅力的なものに変化しました。


私が小学校(低学年くらい)のころ、私の母親と、兄弟が通っていた養護学校に子どもを通わせていた親御さんたちが、養護学校や、市内小学校の特別学級に通う子どもたちの、夏休みの学びと活動の場として「ひよこサマースクール」という活動を始めました。
一時期は市の予算で活動が支援されるところまで至ったくらい、今振り返って思うに、とても大きなアクションを母親たちは起こしていたんだなと思うのです。(ちなみに現在は障害者自立支援法施行により、予算が降りなくなったそうです)
今となっては名称も変わり、運営主体も変わりましたが、今でも活動そのものは続いています。
私が10歳にもなってない頃から始まってますから、15年くらいでしょうか。こうして考えると長いですよね。

その「ひよこサマースクール」ではどのような活動が行われていたかというと…

■運営のひみつ

1.子どものファイル
ひよこサマースクールに参加する児童生徒(小中学生)の親御さんは、事前に自分の子どもの特徴を書いた紙を提出します。嗜好性や障害の状況、得意なこと、苦手なことなど、たくさんのことが書いてあります。
一人でトイレに行けない、子どものこだわり、癇癪を起こしてしまった時の対処法などなど…

夏休みの平日のほとんど、このサマースクールは開催されているため、毎日同じボランティアがついてくれるとは限りません。
なので、親御さんが書いてくれたファイルの情報を事前にチェックして、今日会う子どもとのふれ合い方を準備してもらうのです。
活動が終わったら、ボランティアが個人の報告書を書き、全体でボランティアの反省会を行い終了です。
ボランティアが書いた報告書は、先ほどの子どもの個人ファイルにどんどんファイリングされるので、次の担当につくボランティアが、前回自分の担当の子どもがどんな活動をしたか、調子はどうだったかなどをを確認できるようになっています。
親御さんとボランティアが作るポートフォリオのようなものでしょうか。

2.ボランティア
ボランティアは養護学校の先生や、市内の学校の先生、それと高校生が主です。
あとは大学生・専門学校生がたまに(佐伯市に大学がないのでこれは滅多にいない)
高校生もとなり町の福祉科のある高校の生徒を始め、多岐にわたります。

■アクティビティ

*全体の流れ
夏休みの期間中、ボランティアに支えられながら、様々な障害のある子どもたちが活動を行います。
午前中はまずみんなで点呼。そのあと歌遊びなどが入り、プールで自由遊び。
お昼ごはんを食べて、午後は日によって何かのアクティビティを行う。そして夕方までには全ての活動が終わり、親御さんが迎えに来ます。
親御さんには今日1日の様子をボランティアはお伝えします。
また、週末土曜日は、ときどきお出かけをすることもあります。

*アクティビティの工夫
平日のアクティビティは、毎日違うものでした。
小麦粉粘土で遊んだり、大きな紙1枚にみんなでお絵かきをしたり、ムーブメント活動を行ったり、即興演奏をやったりなどなど、みんながのびのびと活動できるようなものを行います。
これ、全員楽しそうなんですよね。
私も小学校の時は「兄弟児」として一緒に活動に混ぜてもらったことはありますが、どうしてだか、楽しいんですよ。障害とかどうでもよくなる不思議な感覚が気づいたら芽生えているんですね。
これは兄弟だったから慣れからくるものなのかもしれませんが、それでも養護学校の授業参観にあそびにいく感覚や、家での感覚とは明らかに違うものでした。

さらに言うと、活動内容や、その活動の周縁でサポートしてくれる大人や「ナナメの関係」のような人たちの雰囲気で、その関わる時間は何倍にも楽しくなり、気づけばすとんと人生に色濃く何かを残してくれる経験として、その記憶が関わり続けるんですよね。
いろいろなNPOが芸術活動を通して、障害のある子もない子も関係なくワークショップを行う現場が少しずつ増えてきましたが、そこにも強く関連するのではと思います。

そして、改めてひよこでの活動が生きるなと感じているのは、まさに今、私は研究としてそういうアクティビティを追求しているからです。
そこで何が起こっているのか、とても興味深い。

しかもアート系活動って、活動そのものを行なっている間も、出来上がった作品も、誰かと繋がるメディアになるなと実感するのです。


■アートへの興味
アートアートと素人のくせに言い続けていますが(笑)

実は大学生生活後半に入るまで、アートというものにむしろ距離を置いていました。
高校生の時、書道部だったので「漢字かな混じり文」という作品をよく書いていたのですが(相田みつをみたいなイメージかな)
その延長で、書道だけ、ちょっとアートな雰囲気を意識して、人に言葉を書いてプレゼントしたりしていたんです。でもそれだけ。

なぜアートとの距離感があったのか。それは「アート」に対するつきあいかたがわからなかったから。
敷居が高かったんですよね。同じ事を思っている(思っていた)人は多くいるはずだと思うのです。

その捉え方を変えてくれたキッカケは、ニューヨーク一人旅でした。

 

 

多分MoonPalaceに泊まって、だいちゃんをはじめ、いろんなアーティスティックな人たちに出会って、書道の道具を持って行ってた私とコラボしてアーティスティックな遊びをしたり、街中でアートなものに触れていくなかで、私とアートの間の距離感が縮まってきました。

最低限のお金しか持っていかなかったことと(クレジットカードを当時持つことを断固として親が認めてくれなかったため。かなりの貧乏旅行)、9.11の映画製作のためにグラウンドゼロを訪問する予定などもあったため、美術館のことなんて全然考えてなかったんですが
ニューヨークでの後半の生活で、美術館等に行かなかったことをかなり後悔しました。(まあいつかまた行くんだけど)

アート市場そのものについても、これを機にいろいろと知識を得たり、海外の事情についても関係者から話を聞く機会が多くなりました。

そして、「アート」は人の距離を詰めるのか!という気付きを得たのもこの旅でした。


夏休みにたんぽぽの家を訪問させていただいたときもそうでした。
たんぽぽの家 http://popo.or.jp/index.html





















その「アーティスト」が描いた絵、作った作品について相手が語ってくれる。語りの中には作品にまつわるその人の姿がよく見えるんですね。そのコミュニケーションを取る中で、その人の為人はもちろんのこと、目の前の作品についても深く考えるんです。
まさに、平野さんがやっている「対話型鑑賞」に近いものを(勝手に)感じています。

平野智紀さんブログ:McMaster Blog http://blog.livedoor.jp/mcmaster/

*宣伝ですが、平野さんがファシリテーターを務めるイベントがまた行われますよ!
11/27(日) ミューぽんユーザー限定企画第三弾!!
対話型鑑賞 in 東京都現代美術館
http://www.tokyoartbeat.com/tablog/entries.ja/2011/11/mupon-in-mot.html


たんぽぽの家が関わっているワークショップの話を聞いていても、彼らが作る作品も、作っているその様子も、不思議なものがあるんですよね。あれ、なんなんですかね。
上手い下手とかそういうことでなくて、少なくとも人の手から生まれるもの、生み出しているその状況、何かあるなと思ったんです。


■学びの原風景
ひよこの話に戻りますが、あの活動で私自身はどういう関わり方をしていたのかというと、
小学校の時は「兄弟児」として混ぜてもらい
中学校の時は「ボランティアやりたい!」とせがみつつも「高校生からだからだめ!」と怒られ(とはいえ平日は毎日ソフトボールしてたので参加できなかったのですが)
高校生になって、1,2年次は平日の活動にほぼ毎日参加しました。

あのときに、自分の兄弟以外の子について知ることができた、しかもそれはとても「ナチュラルでプレイフルに!」というなんともふわふわ感じでしか表現できないのですが(笑)。
アーティスティックな活動にフロー状態になりつつ、みんなで作ったからなお嬉しく楽しい。

作っている間に感じる、目に見えない連帯感みたいなものと、出来上がった時にも持続する連帯感、さらにはこの出来上がったものをキッカケにして生まれる言語的・非言語的コミュニケーション
学校での「交流及び共同学習」とは違う楽しさや面白さが絶対そこにあった。
ここに何か秘密がある気がするんですよね。

ずっとひよこサマースクールの近くにいて、小学校のころも、あの場に自分のクラスの子がいたら、もっと面白いのになとふと思ったりもしました。

その後、美術館にはよく足を運ぶ用になりました。美術館だけでなく、街の見方も確実に変わりました。

気づいたら、アートな活動と、学びの原風景が気づいたら距離を縮めてきて、私の研究になろうとしている気がしています。
経験は必ずどこかで縺れ合い、新しい糸を生み出すのだなと感じています。
そしてその糸がまた別の糸と紡いでゆくのでしょう。とても素敵なことだなと。

そして、私は様々なアート活動を通して、多くの人と関わり、コミュニケーションをしていたんだなと思うのです。

ちなみに私の所属する東京大学大学院学際情報学府の同期のお友だちたちもメディアアートの展示会を行います!
しかもテーマはまさに"Re:"―対話ということで、私も行こうと思ってます!楽しみ!


*東京大学制作展"iii Exhibition" http://www.iiiexhibition.com/
Twitterアカウント http://twitter.com/#!/iiiEx

開催日時2011年12月2日(金)〜
2011年12月7日(水)
11:00−19:00
入場料無料
会場東京大学本郷キャンパス
工学部2号館2階展示室・
2階フォラム(中庭)

そろそろ寒さが強くなって来ましたが、寒い季節の対話は温かくしてくれますよね。
楽しいおしゃべりと、アートはいかがですか。
個人的にはロイヤルミルクティーも欲しい。


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